- どうしたら並になれるか、そしてその上にいけるか
- 独特な動きを研究してアニメーションに出す
- 被る=だれでも思いつく。アイディアの段階で負け
- Knee pop(ヒザのカクつき)の直し方
※「アニメーションワークショップ(2013) 各週の内容」をすべて見るにはこちら
シンガポール在住のアニメーター小島淳嗣氏によって2013年に開催されたアニメーションワークショップの内容を許可を得てまとめています。
※茶色の文章はクラス中に言われたことではなく、編集時に追記したものです
■はじめに
Generic Walkは逃げ場がないので難しい。
みんなにブロッキングをもうちょっと考えなおして欲しい。
アニメーションとして、ちょっとしかやらないからブロッキングということではない。
■どうしたら並になれるか、そしてその上にいけるか
上手い人は上手い→東郷くん、黒澤くん
はじめの段階で厳しいなと思ってた人は今も厳しい。
うまいレベルまで持って行くにはどうすればいいか・・
12の原則をみんなに教えた。そこから先は教えることがない。
東郷くん、黒澤くんのが上手くまとまってるのはなぜか?
費やしてる時間。他の人は少ない。
今までトータルして費やしてきた時間が少ない、ということが1つ。
考え方がみんなにはない。東郷くんはメールもくれたりして考え方がわかってる。
勉強する頭がないと進んでいかない。
しっかり自分で見て、考えて、何が悪いのか感じて、戦略的にそれをどう解決するかプランを立てて、1週間それをやっていく。それができていない。
教えることはもう無い。
Walk cycleはあと1週。そのあとパントマイム。
いま言ったことを各自考えながらやってもらいたい。
並から上・良にいくには、やってもらうしかない。
上手い人ははじめから上手いし、下手な人は下手なままならやっていく意味はない。
ボランティアでワークショップをやってるので、やってもやらなくても良いと思ってるのでは。
夢だけ見させて成長度合いは個人次第、結果どうあれ授業料はしっかり貰いますというのは自分的に納得が行かないので、学校という考えは無いかな。
ただ学生サイドに緊張感が生まれるという意味ではアリなのかもしれない。
先生やったの初めてなのでまだよく分からない。
業界がそんなに潤っていない。一握りの人が活躍する。
ある程度ソフトが使える人は会社に使われるような人材になってしまう業界。国内国外一緒。
東郷くん、黒澤くんで並。他は下手。
もしこのまま続けるなら、どうしたら並になれるか、そしてその上にいけるか。
仕事が始まると手一杯。自分の改善というのに手が回らなくなる。
12の原則教えた後は、「がんばって」としか言えないと気付いた。
海外に出る出ないは各自の自由。どっちがいいとはいえない。
国内に居て満足している中で、周りはドンドンうまくなっている。
中国なんて早くて安く仕事ができてきている。
いま上手く出来ているから、という考えでは将来もっていかなくなる。
この業界でやっていくと決めたら、並ではなくGoodの上のGreatくらいまで目指す。
日本人の他の学生が追ってきているだけでなく、世界中から。
焦りを感じて頑張ってやってほしい。
やる人は勝手に出てくる。それくらいの勢いが無いと残れない。
仕事としては難しいカット、そうじゃないカット=なんでもないカット がある。
A,B,Cショット
A>ジューシー、ヒーローショット、やってて楽しい、見てても楽しい。
Cショットをするような人達も必要。
Cショットをずっとやるのは誰でも嫌でしょ・・。
Aショットやるには常に今よりも上手い自分になっていかなきゃダメ。
■提出動画
動画は , キーもしくは . キーでコマ送りすることができます。
●WalkCycle(大畑)
ロック系の人に見えた。ガタイが良すぎる。
ワールドで歩かせれる?
腰の前後の動きが大きい。
腰の前後はいらないかな。流派が有る。
腰の前後があると調整が大変。
いまは前後の動きが顕著に出過ぎてる。Knee pop直すのも大変。
Knee pop -> 膝のカクツキ。
戦略的に、無しでいいかなと思う。無くてもあってもほとんど同じ。
無い方がKnee popが直しやすい。
(Knee popについては後半に詳細を書きました)
Genericになってる。
バンドマンに見えた。ホストでいくならスーツ。えりを立てたスーツ。
ギターを背負わせる?ピックを指で弾く?
腰の前後以外は無難。ジェネラルなのでもっとアイディアをプッシュ。
独特な動きがほしい。
歩き関してはみんなと同じ。ちょっと軽い。
Passingのストレート。コンタクトするときのストレート。
その上でキャラ付け。
バンドマンだったらもっと堂々と。足の開きも大きくなるか。
頭が肩と連動しているように見える。
Worldでやると直しやすい。腕もWorldで。
6時間ならもっと。
もうちょっとアイディアの部分で冒険する。
後ろ足が残ってる感じがある。1fあたりでもっとRollを入れて膝がもうちょっと前に。
●WalkCycle(太田さん)
技術的に苦労してる感。
上半身が動きすぎ。
みぞうちあたりから曲がってるのを少なく。
パキンと曲がってるのが目立つ。
カーブを見るだけでなく、最終的に出来た絵を見て自分で判断。
カーブだけ見てたらパキンと曲がってるのは気づかない。
重さは伝わらないが、面白い歩き。
Genericからはかなり離れてる。Generic出来た上でやるといいかも。
Genericをやったことないのであれば、GenericなキャラでGenericな歩きやってみると学べることがあると思う。勉強になる。
腕のSpacingがガタガタに見える。
上半身やステップを直した後に上腕、前腕、手首の順に、スペーシング意識して腕の動きを全部手打ちでやってみる。
動きはキャラに合ってるのでちゃんとやれば面白い動きになると思う。
腕がうまくいかないのであれば、1フレームずつ全部打ってみる。
GimbalではなくLocal回転にしてみる。
やりたい動きがわかってるのであれば、1フレームずつ打てばだれでもできる。
歩きならたった34フレーム。34フレームならできるでしょ。
自分の動きを撮影してみる。
上半身の動き、腕の動きの違いがわかると思う。
Referenceの動きを再現、もしくは分析してみる。
今のでは現実的な動きから離れすぎてる。現実が見えれてない、分析ができてない。
何フレームでどの形になってなきゃいけないのか、というのがわかれば1fずつ打てばできる。
足のRoll.
24fでもっと後ろ足が付いてる。
コンタクトでストレートに。
31fあたりから足の形が同じになってる。
もっとパタンとしていいかな。
かかとのアーク。
かかとが上がり、足は地面に擦るように動き、着く前にかかとが上がりパタン、となるのが一般的な足の動き。
例外的ももちろんある。太田さんのは例外。
子供っぽい良さが出てる。
まずはReference。撮って、しっかり分析。
●WalkCycle(東郷さん)
アイディが被ったからダメというわけではない。
しょうがないと思ってモチベーションをキープする。
仕事では選べないのでそういうのも技術。
今はブロッキング。
オーバーラップがもうちょっと観たい。
抑えてる右手を動かして欲しい。
手首のローテーションだけを動かすのは見たことのある動きになってしまう。
指の部分で固定する。指にLocator入れる。ここが出来ればだいぶ変わる→Specificity.
よくあるアニメーションと一線を画せる。
それにともなって右の肘ももっと動くだろう。
足が地面についたときにコンタクト。
ヒップが一番上に当たったときのことをパッシング・ポーズという。
Passing. 通り過ぎてるという意味。
片方の足がちょうどパスしてる。
地面についてる足が完全にストレートになってることが重要。
パッシングしてるということは足が浮いてる。
体のすべてをストレートになってる足で支えなければいけない。
ストレートになった後、しばらくストレートをキープ。
東郷くんのアニメーションは、ストレートがわかりにくいので9fでもっと腰が上がっても良い。
もっとBouncyな感じで良い。
コンタクトのストレートもやってほしい。カチーンっと。
そうするとウキウキしてる。リズムに載ってる感じが出るのでは。
Generic Walkのときも絶対に必要。
Knee Pop -> 膝のカクツキ がバラバラなのが問題。
27fあたりの膝のPop. 最終的に無くさなければいけない。
治せる技術は習得しておくように。
正面から見た時の腰の回転。
軸足が重さを支え始めたときに、腰が回転する。
足と一緒になってるように見える。そこをずらす。
それが出来てば重みが出てくる。
Genericやるのであれば、PDFを見れば完成できる。
肌が良い感じにできてる。
●WalkCycle(栗木さん)
完成に持っていくには技術的な面で難しい。
モデリングに時間を費やすのは意図したことではない。
アニメーションできないのは本末転倒なので、時間の使い方がおかしい。
アイディアは伝わってくるが、ブロッキングの段階でもうちょっと見せれてるように。
今までの12の原則など全部が入っている必要はない。
スペーシングなどは最後の最後までわからない。
が、タイミング、アークは入れれる。
ブロッキングとしては詰めが足りない。情報が少ない。
ブロッキングの段階でもっとアイディアを入れる。
ビジュアルでは伝わってる。
アニメーションの段階でもっと。
足がイーブンに動いている。運びがコンスタント。
下駄の擦り方。Specificity.
コンタクト時とパッシングポーズ時の脚はストレートに伸ばす。
手。お上品に持つ。そういうところをブロックしてほしい。
傘の持ち方をもっと研究する。
大まかな、舞妓さんが歩いているというのはわかる。
ブロッキングでApproveが出たら、あとはクリーンナップだけ、というところまで持っく必要がある。
足のジオメトリを全部隠して、着物を垂らすなど。
完成を目指すならそういうのもあり。
着物は二の次だが、スキニングが難しければミニスカートの着物にしても面白い。
完成されられない、というのが問題。
東郷くんとかは完成してる。
締りがない。たまにふわふわ浮いてる、カチッかちっとなったりしてたり。
完成させることを意識。
舞妓さんがするであろうという動きを入れる。
独特な動きを研究してアニメーションに出して欲しい。
それがアニメーターの仕事。
そこができてれば外観はこのままでもいい。
プライオリティとして、アニメーションをして、余裕があれば外観。
アイディアの部分は面白い。それはそのまま無くさないで!
完成に持っていけないということは仕事にならない。
アイディアが良いのは作家さん向き。
アニメーターとして仕事していくためには完成していく技術が必要。
●WalkCycle(黒澤さん)
かけた時間は?
→6時間。
アイディアの点をもっと。
ポリッシュも少し入ってないと。
実際の仕事では8時間で完成。アイディア出しからパブリッシュまで。
前から見たときはヤンキーっぽいが、横から見た時にヤンキーっぽさが無い。
前から見たときは肩の傾きが大きく見えるので大棒な感じに見える。
横から見た時もそう見えるように角度を大きくするのをまず試して欲しい。
足が地面から離れて前にいくとき。
足首のガニ股になる回転がもうちょっと大きくてもいいかな。
Passingの段階でもっとかかとがリードしている感じに。
横から見たときに常に同じ形→がに股になる回転が入ってないから
大棒な歩きを見せるなら、そこをやってみる。
ちょっとGenericかな・・。
アイディアの方向性として良いのでこのまま進める。
実際のシーンを歩かせる状態にまで持っていくとして、その中で腕の動き(ういーっすと指差したりとか)あれば面白い。
これはサイクルが完成した後にやること。
重さがない。足が浮きすぎ。
歩きのときはどこに重さが有るか1fごとに確認。
1f目、どちらかの足をもっと接地させないと軽い感じになる。
後ろ足。
付いてる間はRoleのみで、PassingらへんでRole解消しつつ回転を入れる(Spacigを調整しつつ)。
大変だけど、1fずつやらないと実現できない。全フレーム!
足が前に着いて倒す作業の時に、足の指をオーバーラーップさせることもできる。
が、やり過ぎるとバニラウォーク。柔らかすぎる。
くるぶしの回転+足の指の回転だけで後ろの足が離れた後の動きを付ける人もいる。
両方できるようになっておけば強いかも。
Weightedの良い点は、少ないキーでもカーブを形作れる。
タイミングをさっと決め、調整しやすいけど・・
最終的に全部をWeightedでやるのは非効率かな。
手はオーバーラップしてるけど、体のオーバーラップがない。
腕をやる前にそこをやったほうが良い。
手の動きは上半身の動きに影響されるから。
頭の動きはもうちょっと冒険してもいいかな。特定の動き。
みんなのと比べると一般的になってる。
体も面白くなる。
Walkで一番大事なのは重さ。
Passingのときに重さが片足に・・。
まずは重さ。上半身はそのあと。
●全員に対して言っていたこと&他の参加者が言われていたこと
・コンタクト時とパッシング時の脚はストレートに伸ばす。
・被る=だれでも思いつく。アイディアの段階で負けてる。
・Rootのと脚タイミングが同じすぎ。重心が移るときに腰が下がるはず。
コンタクト、ヒットした瞬間から腰が落ち始める。
Passingの高い位置をちょっとキープして、急に落とす。
・上半身のツイストが必要。
■Knee pop の直し方
膝のカクつき。
昔は足元のRoleと膝の回転だけでなおしてた。
最近のリグはStretchアトリビュートがあるのでそこを見てみる。伸びる。
「膝の位置だけ」を見て、Stretchの値を調整してKnee popを直す。
Scaleで伸縮させるのも同じ。
■グラフエディタで反転させる方法
カーブを選択し、ValueのBoxに
*=-1
と入力。Tangentは要調整。
■次回までの課題
次でWalk Cycle完成。
恥ずかしくない状態まで!
仕事だとそれが最後まで残ってしまう。
仕事でAvengersをやったときにすごく後悔した。
サイクルの次はパントマイム。ダイアログ(セリフ)のない芝居。
テーマはなんでも。
今まで言ってきたことを踏襲。
ユニーク。タイミグが面白い。アイディア。キャラクター付け・・等。